|
ゆらゆら。ゆらゆら。 波間に大きな空が揺れる。 押しては返す水を切り裂き船は進む。 遠くバルトを見据えて船は進む。 船尾で目を凝らしていたスウェーデンはただでさえ悪い目つきをますます悪くした。 波間に何かが漂っている。 明らかに海のものではなく、よくよく目を凝らしてみれば人間のようにも見えた。 「えっれえこった」 スウェーデンは小さく呟くと手早く進路を変えて注意深く人間へ近づく。 じっと見ていると波間に漂う茶色の髪は見覚えがあった。 海を隔てて隣の小国。 「リトアニア……」 呟く名前は疑問ではない。 このような光景を見るのは今月に入って何回目だろうか。 始めて拾ったときこそ慌てたものの、総計が何度になるか数えるのも億劫なほどになってくるともう大した感慨も沸かない。 「とりあえず、説教さすんべか」 ぼそぼそと言いながら巧みに舵を取ると、スウェーデンはバルト海に漂うリトアニアに近づき、慣れた手つきで濡れた体を引き上げた。 常から白い頬は青白いを通り越して紙のようだった。 体制を整えさせて腹部を圧迫すると大量の水が吐き出される。 何度か繰り返して飲み込んだ水を全て吐き出させると、弱々しいながらも呼気が感じられた。 船に常備してある簡易酸素マスクを装着させて、スカナンジビアへと進路を取った。 「また……ひろって、もらわなくても……」 よかったのに、とエンジン音にかき消されそうになりながらも耳に届いた声を、スウェーデンは意図的に無視した。 |