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ポーランドの細腕がリトアニアの頭を強く抱いたため、頬に当たるむにゅむにゅとやわらかな感触に戸惑うこととなった。EだかFだかの豊満な胸に顔をうずめる羽目になって幸せというよりいっそ苦しい。 「ポーランド、」 よいしょと、下になって寝そべるポーランドを見上げると彼女は酷く満足げな顔でにこにこと笑っていた。普段なら絶対、リトアニアが上にのって全体重を預けるような体勢になると重いだの苦しいだのと言っては乙女心をいたく傷つけるのだが。 「この体勢は何なの?」 「んー胸枕?」 あまり迷わず即答されてますます訳がわからなくなる。確かに、ベッドに横たわったポーランドの上に寝そべりやわらかな胸に頭を預けた体勢において、胸はまさしく枕そのものだったけれど。 頬や顎に触れる意外と冷たいやわらかさ。眠る直前なのでもちろん下着を着けているわけもなく、淡く色づく天辺も良くわかってしまって、いつも見ているはずなのになんだか気恥ずかしい。 リトアニアの胸中をよそに、ポーランドはふんふんと歌いながら上機嫌でチョコレート色の髪をいじりまわしている。上から下へと梳いてみたり、くるくると白い指に巻きつけてみたり、すくったひと房にくちづけてみたり。 いっそ執拗なまでにいじりまわされてますます居心地が悪くなる。 「ね、わたし退いちゃ駄目?」 「だーめ」 「でもポーランド、重いでしょ?」 「リトくらい重くもなんともないし」 いつもは重い重いと繰り返すくせにとリトアニアは恨みがましく思う。他意はないとわかっていても重いと言われてショックでないわけがないのだ。けれど今はそこを蒸し返す場合ではないと、気持ちを切り替える。 「ねぇポーランド、どうしてこんなことする気になったの?」 尋ねるとポーランドは手を止め、ぎゅうとリトアニアの頭を抱きしめた。 「あんなー、ウチはリトより背ぇ低いやん」 「まぁ…ね」 本来は女性標準よりリトアニアが大柄なだけなのだが、今は関係ない。 「だから、リトは一緒にソファに座ってたりとかするとウチの髪いじるやろ。でもウチはあんまりリトの頭ぎゅーってしたり、髪いじったりしづらいんよ」 ポーランドの腕にますます力が入って、リトアニアはポーランドの顔を見ることができなくなった。けれどポーランドはとつとつと言葉を続ける。 「せやから、こうやって横になって、胸枕させれば楽に触れるかなとか、思ったんだし…それだけ」 照れ隠しなのかさらに腕に力が込められ、リトアニアは本気で窒息の危険を覚えた。必死でぐりぐりと頭を動かし、首だけでポーランドを見上げることに成功する。 言われてみれば、寝そべっているとはいえポーランドのことを見上げるのはどれくらいぶりだろう。顎から喉のすべらかなライン、髪の毛から覗く耳、目の前に浮き出た鎖骨、全てが新鮮で、なんだかどきどきした。 「リトどきどきしとるし」 指摘されて、かあっと耳が熱くなる。 言い返そうと思ったらそれより早く旋毛にちゅっとあたたかい感触。 「リトの髪綺麗…天使のわっか、見えるし」 言いながらもちゅ、ちゅ、と何度も繰り返し唇を落とされて、言いようもない心地良さにリトアニアは目を閉じた。頬に触れるやわらかな胸の下から、どきどきどきと確かな拍動が聞こえてくる。 |