|
リトアニアは自分自身のことを丈夫だと思っているようだけれどポーランドに言わせてみればちゃんちゃらおかしい話だった。 リトアニア用の薬箱の中には頭痛、腹痛用の解熱鎮痛剤に胃薬、下痢止めの漢方、肩こり腰痛の内服薬、疲れ目の薬にビタミン剤、睡眠導入剤まで入っている。 ほぼ毎日この中から最低でも三つの薬を服用していて何が丈夫だ。 普段は薬に頼る必要のほとんどないポーランドはそう思う。 なんだかんだであれこれ悩む性格だから体に影響が出ても仕方がない。 しかし不調をあらわにしようとせず、薬で誤魔化して一人で耐えるからなおさら性質が悪い。 それでも数年前の、何かにつけては自殺を図っていた頃よりはよほどましだ。 今日の夕食後もリトアニアは私室に引きこもっていた。 ソファでごろごろしていたポーランドが長い入浴を終え、ようやく上がってきても姿がない。 また何かあったなと若干呆れながら私室の扉をノックした。 返事を聞く前に扉を開ける。 「リトー」 「ポーランド…ノックしたなら返事くらい待ってよね…」 案の定、リトアニアはベッドの上で枕を抱えてうずくまっていた。 腹痛か腰痛か少し早めの冬季の鬱かと当たりをつける。 「どうしたん?」 「ん…ちょっと腰痛くて……」 ちょっととは言うものの、青ざめた顔でぴくりともせずに言われても全く説得力がない。 しゃーない奴、とため息をついてポーランドは丸まったリトアニアの腰にぺたりと触れた。 「この辺?」 「も、ちょっと上……そこ」 よいしょとベッドに乗り上げて、マッサージの仕方など知らないのでとりあえずそこだと言われたところをゆっくり撫でる。 血流が悪くなっているのか妙に冷たい。 時折親指で背骨の脇をくりくりと圧してやるとリトアニアははぁと息を吐いた。 嫌そうな声ではなかったのでおそらくは気持ちがいいのだろう。 今度は腰椎の外側を指先で揉みながら辿ってやる。 方法は適当ではあったが、マッサージを続けていくと楽になったらしい。 触れている腰があたたかくなり、顔色も幾分戻ったようだった。 そうすると今度は眠くなったのか、リトアニアの瞬きの回数が目に見えて多くなった。 「眠いんだったら寝とけし」 「でも…お風呂入らなきゃ……」 「明日の朝でいいやろ」 「ご飯の後片付け……」 「俺がやっとくし」 そうとう眠いのか枕を抱いてむずがるリトアニアの頭をぽんぽんと撫でる。 いつもとポジションが逆だ。 呆れ半分のため息は欠伸に変わって、ポーランドも眠気に目を擦った。 気付くとリトアニアは早速眠ってしまったようで、背中が規則正しく動いている。 「マジで今度アジアにでもマッサージ習いに行くかなー」 最後にあたたまった背中を撫でながら、ポーランドはまたひとつ欠伸をした。 |