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「リトー、ちょっと来るしー」 一足先に寝室に引っ込んでいたポーランドに大声で呼ばれ、リトアニアは濡れた髪を拭いながら扉を開く。 「ポーランド、近所迷惑なんだから声小さくしなよ」 「そんなんどうでもいいし。それよりリト、これ見ぃ!」 ベッドの上に座ったポーランドは足をばたばたさせてリトアニアを呼ぶ。ため息をつきながらもベッドサイドまで歩み寄ると、妙に楽しそうにポーランドは笑っている。嫌な予感がした。 「おもしろいもんがあるんよー」 「…何?」 「じゃーん」 ご丁寧に効果音付きで出されたモノを見て、リトアニアは自分の予感が当たったのを悟った。正直、当たってほしくなかった。 ポーランドが、よりにもよって枕の下から取り出したのはピンク色をした、所謂大人のおもちゃという奴だったのだ。 「どーよリト、これまじかわいくない?」 実に嬉しそうに言われ、頬が引き攣るのがわかった。 「…まさかとは思うけど、今晩それを使うとか言わないよね?」 恐る恐る尋ねると、何を言っているのかという顔をされた。 「リト、何言ってるん?こんなん買う目的なんて使うために決まってるしー」 冗談じゃない!見た目こそピンクでかわいらしいが、バイブは弄んでいるポーランドの細い指と比べてひどく大きく見えた。 「嫌だからね!」 瞬時に拒否すると、ポーランドは不満げに口を尖らせた。 「なんでなんよ」 「なんでって…!」 言葉に詰まったリトアニアの返事は聞かずに、ポーランドはサイドテーブルをごそごそと探った。取り出したのはローションの瓶。中でピンクの液体が揺らめく。 「リト、服脱いで」 「…!」 緩やかに命令されると何故か逆らいづらくて熱に浮された頭でベルトに手をかける。リトアニアはベルトを抜きながらポーランドを見たけれど、にやにやしながら見つめてくるだけ。 快楽に震えそうになる手を宥めながら下衣を脱ぎ捨てると、すかさずポーランドの手が伸びてくる。足を持ち上げられてあらわになる中心にローションがとろりと垂らされる。ふわりと香る人口苺。冷たさに肌が泡立つ。 半ばほど立ち上がったものを伝い濡れた後孔に細くあたたかな指が触れるのをリトアニアは期待した。けれどそれは敵わなかった。 期待に反した無機物の感触にリトアニアは肩を震わせる。潤んだ瞳で見下ろすと、悪戯っぽい顔をしたポーランドと目が合った。後孔にはピンクのバイブが宛てられ、ゆっくり小刻みに揺らされる。 「ひゃッ…!」 まだ慣らされていないにもかかわらず、ローションでとろとろになったそこは僅かに、本当に僅かにだがバイブの先端を飲み込んでしまった。もちろんそんなに簡単にすべてを収められるはずはなく、流石のポーランドもわかっているのかそれ以上押し込もうとはしなかった。その代わりに、円を描くようにぐりぐりとバイブを動かす。その動きに少しずつリトアニアの入口はほぐれ、異物の侵入を許していった。普段は良く回るポーランドの口は笑みの形に閉ざされていて、寝室にはリトアニアの押し殺した声しか聞こえない。 長い時間をかけてようやく先端の数センチほどが飲み込まれた。酷い圧迫感にリトアニアの目から生理的な涙が溢れる。 「ポー…抜いてっ……」 「ダメだし」 「ポーランドっ……!」 懇願するように名前を呼ぶと、にやにやと笑いながら性器を握り込まれた。そこは既に張り詰めていて、ローション以外のものでもべたべただった。 「触ってないのにこんなだし…リト、本当は気持ちいいんやろ?」 「そ、んなっ…」 否定したかったけれど、言葉が続かなかった。内側から押し広げられる圧迫感、中を抉られる感触、息を詰める自分をじっと見つめるポーランドの、無邪気でいやらしい眼差し。全てがリトアニアの胸の奥を波立たせ、動悸が早まる。体温が上がる。これで感じていないと、果たして言えるのだろうか。 「ほら、リト」 「あうっ…」 不意に先端を弄られてびく、と体が震える。全身が弛緩した隙を見逃さずにバイブを押し込まれた。根元までを一気に銜え込まされてリトアニアの体は小さく痙攣した。 「全部入ったし」 「う……」 「動かすからな?」 「え…っあぁ!」 奥を押し広げられる感覚に慣れる間もなく、バイブのスイッチを入れられた。口元を抑えて震える異物に耐えていると裸の胸に触れられた。バイブから離れて自由になったポーランドの手がここぞとばかりに体中を這い回る。わき腹を執拗なまでに何度も撫でられ、逆の手は固く自己主張する胸の突起を転がす。必死で声を殺していると、肩を強く噛まれた。 「リト、声出しぃ」 「んっ、や……」 首を振って抵抗すると口を塞ぐ手を退かされ、唇に噛みつかれた。口内に舌が入り込み、歯列をなぞられれば腰が跳ねる。上と下両方を刺激されて堪らなくなりリトアニアの体がぶるぶると痙攣を始める。もう絶頂が近いのだろう。タイミングを見計らって唇を開放し、先端をぐりぐりと捏ね回すと耐えられなくなったのか遂に高い悲鳴がこぼれた。 「っあぁ、や、あ……!」 びくんとひときわ大きく体が跳ね、リトアニアは達した。けれど後孔に埋められたバイブは振動を続けていて、体の震えは収まってくれない。見れば熱を開放したばかりだというのに性器は既に固さを取り戻し始めていた。 「…ポーランド」 「んー?」 堪りかねて名を呼べば柔らかく笑んだ瞳と視線がぶつかる。喉の奥にわだかまっていた言葉が促されるように自然と出てきた。 「中の…これ、抜いて」 「なんで?」 「っ…ポーランドのが、欲しいっ……!」 「ん…ぜんぶやるし」 言うが早いか震えるバイブが抜き去られる。名残を惜しむようにリトアニアの入口がひくんと吸い付いたが、喪失感を感じる間もなくポーランドのもので穿たれた。一気に根元まで押し込まれて悲鳴が上がる。ポーランドはそこで息をつき、動きを止めた。いつものように、リトアニアの中に馴染むまで待つつもりだった。けれどリトアニアは濡れた瞳でポーランドを見て、肩に両手を回す。懇願するかのように。 「ポーランド……うごいて……」 「え?」 予想だにしなかったリトアニアからの甘い誘いにポーランドは思わず目をしばたたかせた。しかしそれも一瞬のことで、リトアニアが緩く腰を動かすとすぐにたがが外れた。膝をぐっと持ち上げて奥まで穿ち、次の瞬間には抜けるぎりぎりまで腰を引かれる。ピストンの合間に腰を回すように使えばいいところを刺激されて、リトアニアは甘く鳴いた。 「っあ、あ、ふぅ……っんぁ、ポー、ポーランドっ…!」 「っ…、リト、リトマジやらしいし…」 「や、やだぁ…っ」 「誉めてるんだし、ばか…」 耳元で囁かれてリトアニアの体がひときわ大きく跳ねる。後ろがきゅうきゅうとポーランドのものを締めつけて、限界が近いことを伝えてきた。涙を零す碧の瞳はどちらのものか。堪らなくなって可能な限り奥まで押し込める。嬌声と共にあらわになった白い喉に噛みつくと、声にならない悲鳴をあげてリトアニアは熱を放った。 「ああぁ……っ!」 「っ、リトぉ…!」 全てを誘い込むような中の動きに耐えられず、一足遅れてポーランドもリトアニアの中で達した。一滴残らず注ぎ込んで、荒い息をつく。 余韻が抜けきらずに、リトアニアの深緑の瞳からとめどなく溢れる涙をポーランドはぺろぺろと舐め取った。 「ポーランド…んっ……くすぐったいよ…」 「リト、気持ちいかった?」 「………」 ほんの少し笑ったリトアニアに尋ねると、予想に反して途端に黙り込んでしまう。ポーランドはむぅ、とむくれると涙で濡れたリトアニアの頬を引っ張った。 「どーしてすぐ答えないんー!」 「いひゃ、ぽーりゃんど、いひゃい!」 「あれだけ善がってたクセしてー!」 「らって!」 力の入らない体でなんとか抵抗し、頬を離させるとリトアニアはふいとそっぽを向いた。彼の珍しい態度にポーランドはぱちんと瞬きをする。 「確かに……よ、よかった、けど、挿れられるの苦しかったし……」 「苦しかったし?」 もごもごと口篭もるリトアニアを促すと、もう自棄だと言わんばかりの泣きそうな顔で叫ばれた。 「…っ俺は、ポーランドのの方が善いから!」 すぐには発言の意味が汲み取れずにポーランドはまたぱちくりと瞼をしばたたかせる。一呼吸の後漸く理解して、満面の笑みと共にリトアニアをぎゅうっと抱きしめた。 「リトまじかわいーしー!俺マジリト好きだし!愛してる!」 ぐりぐりと頭を胸板に擦り付けられて、くすぐったいやら照れ臭いやらでリトアニアは小さく声を上げて笑った。そしてさらさらの金髪にちゅっとくちづける。 「俺も……だいすきだよ、ポーランド」 |